所有者不明土地と登記
日本における所有者不明土地の合計面積が九州の面積を超えるというニュースがあったのは記憶に新しい。
相続登記未了のまま、現在の所有者が分からなくなってしまっているのだ。
なぜ、相続登記をせずに放置してしまっているのか。
単純に相続登記をするメリットがないからであろう。
そもそも相続登記というのは、必ずしもしなければならないものではない。
活用できそうな土地ならまだしも、どうにもならなさそうな土地であれば、登録免許税や戸籍謄本等収集費用、場合によっては司法書士費用を払ってまで相続登記をする意味を見出しがたい。
このままでは、所有者不明土地問題の速やかな解消は難しい。
相続登記の義務化や一定の手続きを経たうえで放置されている土地の所有権を国が取得できるようにする(相続財産管理人制度よりも簡便なもの)といった制度改革が必要となろう。
なお、「登録免許税」というものも実に厄介である。
所有権移転登記を申請する場合、登記申請日の属する年度における固定資産評価額を基に課税標準を算出し、それに法定税率をかけて登録免許税額が決まる。
相続の場合は、課税標準の4/1000である。
1000万円の土地の相続による所有権移転登記を受けようとすれば、4万円も国にとられてしまう。
登録免許税は、日清戦争時代の戦費負担等により国費が増大したことにより設けられたものであるが、いまや徴税目的を失っているものといわざるを得ない。このような無用の長物は、所有権不明土地問題解消に対する障壁に他ならず、即刻廃止すべきである。