みんなの民法講座ーその1:心裡留保
皆さんこんばんは。
民法という法律をご存知でしょうか。
民法は、私たちの生活の根本的なルールを定める法律です。
その民法の大改正が行われるというのは、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
そこで、民法改正というイベントにあわせて、皆様にも民法という法律を身近に感じてもらえるよう、わかりやすく解説していきます!また、私たちの生活ルールを定める民法を知ることで、実生活にも生かすことができます^^
法律講座ということで、実際の民法の条文も紹介します!しかも2020年4月1日から施行される改正後のもの!!この法律講座を受けることで、一歩すすんだ知識を身につけることができます!!
今回のテーマは「心裡留保」です!
さっそく、条文をご覧ください。
(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
まず、「心裡留保」の読み方ですが、「しんりりゅうほ」と読みます。
では、心裡留保とは何か。ずばり、「冗談」のことです。
たとえば、AさんがBさんに、冗談で「100万円あげるよ」と言ったとします。これが心裡留保です。
では、こんな冗談を言った結果どうなるか。
さきほどご紹介した条文を読んでみますと、「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。」と書かれています。
つまり、冗談で言ったとしても契約は原則として有効だということです。
この事例の場合、AさんとBさんとの間には100万円の贈与契約が成立してしまいます。
しかし、Bさんが、それを冗談で言っていることを知っていたり、極貧の生活を送っているのを知っていて、100万円をあげるというのが冗談であることが容易にわかるようなときは、契約は成立しません。上記の条文で「ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。」というのはそういうことです。
※法律の条文で「ただし、・・・」となっている部分は、「ただし書」といいます。
ところが、AさんとBさんとの間で100万円の贈与契約が無効になったとしても、Bさんに金を貸していたCさんがBさんのAさんに対する100万円の支払請求権を何も知らずに差し押さえていたような場合には、Aさんは100万円をBさんにあげると言ったのは冗談だから無効だとは言えなくなります。「前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」とはそういう意味です。
※「善意」とは、法律上は、「ある事実を知らない」ことを意味します。
逆に「悪意」とは、「ある事実を知っている」ことを意味します。日常用語とは違う使われ方になっています。
皆さん、冗談はほどほどににましょう(笑)
どうでしたか?第1回目は、「心裡留保」についてでした!!ではまた!!